理事長の新年あいさつ(こころ通信より)
謹賀新年 本年もよろしくお願いいたします。
昨年、約十年ぶりにある患者さんと再会しました。彼とは、私が医療機関で精神科ソーシャルワーカー(現精神保健福祉士)として働き始めた頃に出会い、医療機関を退職する頃まで、ずっと担当させていただいた患者さんです。
つまり、彼と出会って30年以上たっているということになります。彼は私に笑顔で「菅原さん、コップの水は八分目」「クイーンだね」と語りかけてくれました。
この言葉は、病気になって失ったものに目を向けてしまう彼に、「コップの水が八分目しかないのではなく、八分目もある」と二人の合言葉でした。そして、病気の症状の辛さだけになってしまう彼と楽しみを共有するために、お互いの共通の趣味のロックを語り合ったバンドの一つがクイーンでした。
私にとって彼とのかかわりは、私のソーシャルワーカーとしての原点です。私にはどうにもできない彼の人生があり、でも、必死に彼の人生にかかわろうとした私がいました。
私たちは、様々な出会いを繰り返しながら今の自分がいます。今年も、きっといろんな人との出会いがあるでしょう。どんな出会いも、私たちの人生に物語を作ってくれます。お互いの物語を大切にすることを心に留めながら、今年も誠実に取り組んでいきたいと思います。
皆さまにとってこの1年が、人生の素敵な1ページになることを祈っています
理事長 菅原小夜子