こころのねっこ 「嗚呼、息子よ。第二章」
月日の流れは驚くほど速く、特にこの2カ月はめまぐるしかったような・・・。
まず、体調を崩した。意外なんだが怪我をして初めての絶不調・・・。改めて無理の利かない身体であること、だからこそ自分にとっての〈ベストポジション〉は出来得る限り死守したい!〜と思う。アタシ自身のコンディション、そしてとりまく環境はわがままだと言われようと居心地の良いモノにと・・・。
しかし、アタシの体調不調とかぶり、母が膝を骨折。そして連鎖反応の様に偏屈で頑固がウリ(?)の父がまさかの癌で緊急手術。何かと手助けが必要な時に何ひとつ出来ない自分の現状に凹む。本人が思っていた以上に心の中にモヤモヤをため込んでいたようだ・・・。
それでも何とか危ういながらも保ってきた〈こころの健康〉は息子の卒業式前に崩れた。
以前ここに書かせてもらったが、アタシはアタシのひとつのケジメとしてこの式には堂々と〈彼の母親〉として参列するつもりだった。手と足が動かなくたってアタシは母親だ。確かにほとんどの〈母親〉と呼ばれる人が出来る事が悔しいことに出来ないし、もちろんたった一人の車イスの母親は目をひく。でも「だから何?」なのだ。逆にほとんどの〈母親〉が味わえない経験をしているし一生懸命に生きている!〜と自負している・・・。
でも息子は〈普通の母親〉が良かったようだ。 「お母さんには来てほしくない」と・・。
矢継ぎ早に「何故?」とがなりたてるアタシに予想通りの「車イスだから」の返答。
彼の気持ちは痛いほどわかる。こんな人生のハプニングさえなければ、友達のお母さんと同じ健常者だったのだ・・・。 〜だから正装した息子と父親をベッドの上で布団を被りながら見送った。 心配して訪ねてくれた母と姉の前で大声で泣いた・・・。ドラマのワンシーンみたいだとどこか冷静なアタシもいた。
怪我をしてから何度も泣いた。ただ悲しくて泣くのではなく、どうにも出来ない感情を吐き出す為に泣きわめくのだ。擬音だと〈シクシク〉でも〈メソメソ〉でもなく〈ギャーギャー〉だ。そんな状態のアタシの横にはいつも黙って夫がいる・・・。ひとしきり悪態をつけば終わる事を知っているし、アタシもそうする事で自分にケリをつけるしか術がない事はわかっている。前に進むしかないのだ。今回は〈くやしい〉の気持ちの涙だった・・。
今回の題材はこの原稿の締め切り直前に変更した。卒業式から1週間が経とうとしている今、息子はアタシと1メートルも離れない場所でテレビを見ている。同じ年の頃のアタシにそっくりだ・・・。 式から暫くはギクシャクしていた関係は戻りつつある。 何年かかるかはわからないが、いつかこの日の心の内をお互いに話せる日がくるのだろうか・・・。
彼は彼なりに、アタシもアタシなりに精一杯過ごしていた日のことを・・・。