事故で肢体不自由になった40歳代の中途障害者のエッセイの9回目の投稿です。
こころのねっこ ? 「月日は流れる。過去は戻らない。」
春 菊
黄金週間・息子の家庭訪問も終わった。寒くて寒くて布モノにくるまれていたアタシは
今、半そでのTシャツ姿だ。 今度は急に灼熱の季節到来・・ホント、やっかいな身体である。
この時期はちょっと感傷的になる。 2年前の6月4日月曜日午前9:30頃、怪我をした・・・。あの日を境に障害者の世界に迷い込んだのだ。 その2週間前は息子のスポーツ少年団のバーベキュー大会だった。役員だったアタシは1カ月程前から準備・手配で手一杯だった。当日も活躍したつもり・・・、大きな鉄板を何枚も運び、ガスボンベを設置。
石ころがゴロゴロ転がる足場の悪い会場を右往左往していたのだ。この手と足で・・・。
1週間前の日曜日には、友達に穴場と教えてもらった場所へ潮干狩り。浜名湖畔、晴天の中家族4人でひたすら掘り続け、小ぶりのアサリがバケツにいっぱい。ホクホク顔での帰路、思いがけない場所での取り締まりで15,000円の罰金切符を切られ悪態をついたのもアタシ。 翌日は夫と二人で休日。イマイチの天気の中出掛けた川根温泉・・・ひと風呂浴びて昼からビール♪お蕎麦をすすってお座敷でごろごろ・・締めにもうひと風呂。
〜まぎれもなくこのアタシの過去、大事な思い出の日々。〜
怪我をしてから、ベットの上・車イスに根を下ろし切り取られた外界を眺め・・持て余す時間にその膨大な記憶を一つ一つ取り出す。 いやっ、受傷後しばらくは思い出したくもなかった・・もがいても戻れない過去を直視できずにいた。 身体の回復と共に、「再び歩くこと」を目標に出来るようになり始めた頃からたぐり寄せた〈過去〉。また家族で潮干狩りに、山へキャンプに行ける♪〜なんて単純に考えていたアタシ・・・月日はいつでも流れている事を忘れて!!
高校入学で毎朝お弁当を作る娘。その傍らのベットの中・・・(アタシが作ってあげたかった・・・もうちょっと待ってて!立って作るから!!)〜なんてつぶやいて気付く。
「そんなにすぐに歩けないじゃんっ、娘は成長していくんじゃんっ!アタシが立ってる(予定)時には下手すると結婚してんじゃんっ!!」・・・ようやく気付きました・・・。
子供は成長していく、アタシも夫も・・・今は元気で気苦労をかけっぱなしの父・母も・・・。
アタシが晴れて立ち・歩いた時には変化している環境。 目に見えないホドのノンビリ速度で・・・。 今のアタシはまさしく『今』だけのアタシ・・・。 これからのアタシは『今』作られている。 だから、大事に『今』を積み重ねないと・・・です。 42年生きてきて、ようやく気付いたアタシです。